研究指導

大学院生で来たい場合

私が志望者に求めることは以下です.
  • 研究者になりたいという意思。
  • 学部での成績がそれなり以上に良いこと。
  • 数学のそれなりの訓練.それなりとは、線形代数、大学の微積分、確率、統計ぐらいのうちの 2〜3 個以上を勉強したこと。勉強といっても、理学部数学科的な授業か、工学部でか、経済学部でか、独学かなどあるでしょうが、細かいことは言わないです。
  • 情報、物理、工学、経済、心理学・認知科学、数学のどれかについてしっかりとした勉強、訓練(学部レベル)を積んでいること。

Bristol にて PhD

  • 修士課程まで日本(or イギリスや他国)で修了した人が、4年間かけてブリストルで PhD をとる、と理解して下さい。
  • 9月末に新年度が始まります。が、何月からでも入れるとも聞きます。
  • UK/EU 外の学生に対する授業料はべらぼうに高いです。なので、授業料+生活費をどう工面するかが最大の懸案事項と言えます。
    • ブリストル大学(の工学部)は、UK/EU 外の志望者向けに、授業料+生活費、あるいは授業料だけをカバーする奨学金を出しています。競争率は高く、志望時点で英文誌への学術論文が 1, 2 本あってやっと可能性がある程度です。でも、観察してる限り、不可能ではないハードルです(所属分野や指導教員にはよりますが)。
    • Research Assistant, Teaching Assistant としての給料をあてにすることはできないです.私が研究予算を引っ張ってくることができても,それで(アメリカのように)学生に給与を払うことは制度上稀にしかできないです。
    • 日本の団体や企業が出す奨学金(授業料+生活費をカバーできたり、その一部だったり)は、いくつかあります。競争率は高いようですが、実際に取れたという話も複数聞いています(私の学生ではないですが)。
  • 私と脳科学(fMRI のデータ、ネットワーク解析)をやりたい人は、私の大学のとある脳センターの応募に出すという手があります。細かい理由があって最終的に私が指導教員になることの保証はできませんが、通った場合は UK/EU 基準の学費+生活費が支払われます。つまり、通った場合は、UK/EU 基準の学費と EU 外基準の学費の差額だけを工面する必要があるということになります。

日本(など)で PhD
以下のような選択肢があると思います。

  • 学振 DC を持っているなら、海外に一定期間まで出ることができることを用いて来る。指導教員の寛容さは必要条件でしょう。
  • インフォーマルに私とコラボする。指導教員の許可・寛容さや、その後のキャリアプランについてのビジョンは求めます(ポスドクでどうしたいのか、など)。私は、ボランティアで学生を受け入れることは行いません。

ポスドクで来たい場合

以下のような選択肢があると思います.

  • 海外学振で私を志望する.
  • 学振PDで,海外に一定期間までは出ることができるので,その時期を用いて来る.
  • その他.

研究スタイル

理論的な素養としては確率(過程),微分方程式,線形代数,統計物理,力学系,初歩的な情報理論,初歩的な信号処理などを多く用います.大学の 1, 2 年生で学ぶような微分方程式や線形代数などを深めに使います.数値計算もよく行います.研究対象の多くは,数学的には厳密に解けません.しかし,だからといって現実と離れた数理モデルを作って数学的な高みを目指すことは,私の趣味でないです.それなら,綿密な数値計算だけで現象に少しでも近づく方を私は望みます.数値計算だけで論文を書くこともあります.なるべく理論的に,しかし,現象に従う.これが私にとっての数理モデリング,数理工学です.同じ理由で,2008 年頃から,実データの解析もある程度やっています.最近は,ついに実験だけで論文を書きました.

よって,プログラミングが嫌いではない(少なくとも,勉強する意欲がある)ことが望まれます.プログラミングに長けている必要はないです.私も C と MATLAB の初歩だけで論文を書いています.自分の学生には,大学院入学時点でプログラミングの未経験者もいます.

    

数学か,物理か.私は意識してません.私が東大で属し,イギリスでも属しているのは数理工学ですが,私の共同研究者の大半は統計物理出身です.どちらでもいいです.

私の研究が属する大まかな分野をキーワード風にあげるならば,数理生物学,数理生態学,進化生物学,数理社会学,行動経済学,非線形動力学,確率過程,(計算・理論)脳科学などです.

関連書籍

英語の書籍・総説論文は英語ページも参照下さい.

  • ネットワークの科学(啓蒙書)

    • 増田直紀.なぜ3人いると噂が広がるのか.日本経済新聞出版社(日経プレミアシリーズ)(2012).
    • ニコラス・A・クリスタキス,ジェイムス・H・ファウラー(鬼澤忍訳).つながり.講談社 (2010).
    • 増田直紀.私たちはどうつながっているのか.中央公論新社(中公新書)(2007).
    • 増田直紀,今野紀雄.「複雑ネットワーク」とは何か.講談社(ブルーバックス)(2006).
    • スティーヴン・ストロガッツ(蔵本由紀監修,長尾力訳).SYNC. 早川書房 (2005).
    • バラバシ AL(青木薫訳).新ネットワーク思考.NHK出版 (2002).

  • ネットワークの科学(専門書)

    • 矢久保考介.複雑ネットワークとその構造.共立出版 (2013).
    • 増田直紀, 今野紀雄.複雑ネットワーク.近代科学社 (2010).

  • (進化)ゲーム(啓蒙書)

    • トム・ジーグフリード(冨永星訳).もっとも美しい数学.文藝春秋 (2008).
    • 山岸俊男.安心社会から信頼社会へ.中公新書 (1999).
    • ウィリアム・パウンドストーン(松浦俊輔他訳).囚人のジレンマ (1995).

  • (進化)ゲーム(専門書)

    • 大浦宏邦.社会科学者のための進化ゲーム理論.勁草書房 (2008).
    • Martin A. Nowak(竹内康博,佐藤一憲,巌佐庸,中岡慎治訳).進化のダイナミクス.共立出版 (2008).
    • 石原英樹,金井雅之.進化的意思決定. 朝倉書店 (2002).
    • R. アクセルロッド(松田裕之訳).つきあい方の科学.ミネルヴァ書房 (1998).

  • その他社会・生物関係

    • 木暮太一.大学で履修する入門経済学が1日でつかめる本.マトマ出版 (2011).
    • 亀田達也,村田光二.複雑さに挑む社会心理学 [改訂版].有斐閣アルマ (2010).
    • マーク・ブキャナン(阪本芳久訳).人は原子,世界は物理法則で動く.白揚社 (2009).
    • 山岸俊男.信頼の構造.東京大学出版会 (1998).
    • 巌佐庸編.数理生態学.共立出版 (1997).

  • 脳(啓蒙書、専門書)

    • 甘利俊一監修,田中啓治編.認識と行動の脳科学.東京大学出版会 (2009).
    • 甘利俊一監修, 深井朋樹編.脳の計算論.東京大学出版会 (2009).
    • 外山敬介,甘利俊一,篠本滋.脳科学のテーブル.京都大学学術出版会 (2008).
    • 理化学研究所脳科学総合研究センター 編.脳研究の最前線 (上・下).講談社ブルーバックス (2007).
    • 川人光男.脳の計算理論(特に最初の3章).産業図書 (1996).
    • 銅谷賢治,五味裕章,阪口豊,川人光男編.脳の計算機構.朝倉書店 (2005).

  • 数学や物理(研究の道具として)の独習にお勧めの教科書

    • 田辺行人,藤原毅夫.常微分方程式.東京大学出版会 (1981).
    • 東京大学教養学部統計学教室編.統計学入門.東京大学出版会 (1991).
    • 藤原邦男.物理学序論としての力学.東京大学出版会 (1984).
    • 長岡洋介.統計力学. 岩波書店 (1994).
    • 久保亮五.大学演習 熱学・統計力学.裳華房 (1998).
    • 高安秀樹.フラクタル.朝倉書店 (1986).

  • 研究の心がまえなどの意味で私が共感した本

    • 有馬朗人監修.研究者.東京図書 (2000).
    • 有馬朗人監修.研究力.東京図書 (2001).

以下に共感する内容が多ければ,私と合うかもしれません。長いですが,興味のある方は目を通して下さい.

プレゼン:人に分かりやすく伝える技術は,会社でも研究業界でも大切です.練習で上達できます.研究さえ良ければ伝えるのは下手でもいい,というのは私の考えとあいません.

博士・ポスドクの希望者へ

ポスドク、大学の教職、研究所の研究職などは、定義上プロの研究者です。就職の最終目標としては,ポスドクではなく大学または研究所ということになるでしょう.私の分野は学際的・実験連動分野です。アイディアを思いつく力だけでなく,高い基礎知識、アイディアを数理モデルに具現化する能力、アイディアを客観的に検証する能力、論文執筆力、コミュニケーション技能、語学力、戦略的思考,独り立ちしたときの強さ,などが必要で、全てあわせたものが研究能力です.成果を出しながらこれらを培うことが,研究教育の目的であると考えます.研究者生活は楽しい分,責任や成果が求められます。楽しく,かつ,責任を果たす「自立した研究者」になってほしいものです.多少の素質が必要なことは否めませんが,皆さんの多くは,自己努力と適切な指導環境があれば、楽しい研究者ライフに到達できるだけのポテンシャルを持っています。

自分で自由にテーマを探して研究を始めましょう、という指導方針もありますが、私は、最初は私とテーマを共有して速めに具体的な問題に取り組み始めることを重視します。メリットは、上に書いたような能力 (コミュニケーション、 論文作成など) が速く身につき、速く国内・国際デビューできることです。デメリットは、自分でテーマを探す能力がすぐには育たないことです。学生の自立を妨げるのでこの方法は良くない、という方も多いです。しかし、私の分野ではこちらがより現実的で、世界の多くの研究室がそうです。もちろん、徐々に学生が自由に行う部分を増やしていくし、ポスドクの進め方は、学生の進め方よりも自律的になります。

成果主義:尻たたきは嫌いです。大学院に行かない人は 22 歳、あるいは 18〜20 歳で就職し,多くの人が荒波にもまれながら生活を築いています。研究者は博士勉強中でも 25 歳~。収入の有無はしょうがないですが,社会人の同年代に対しても胸をはれる仕事ぶりでありたいものです。研究者にはタイムカードもなく,見た目は怠けていてもよいでしょう。スケジュールも非常に自由です.しかし,博士はプロの入口。最終的に結果を出す怠け者は歓迎ですが,結果を出さない怠け者は不歓迎です。結果とは、論文です。そのためのサポートは惜しみません。

日本では、研究者の値うちを短期間(=数年)の論文数で測ると10年スパンの大きな仕事が評価できないので良くない、という根強い考えがあります。しかし、私はそう思いません。私の周りの分野では、5年で仕事が出ない人は10年20年たっても多分出ません。毎日のように新論文が世に出ます。研究者は、論文の質+量で評価され,次の研究機会や就職をつかみに行きます。また、一つの論文を仕上げて発表する、ということは自分との対話であり、 客観化の努力であり、匿名の論文審査員との学問的応戦であり、膨大なプログラミングの努力の結果であり、自己主張です。最初は時間がかかり、慣れればどんどん速くなります。

Aさん=こういう仕事をした人、という評価を小さい所から作っていくことが大切です。よって、慌てて小さいテーマに落ちることは避ける、内容に興味があって楽しむようにする、ということを守りつつ、論文を書いていく作業を重視します。PhD の期間中に 2〜4 本程度の投稿論文を書くと考えて下さい。

国際性:この分野の研究は、世界共通の土俵で行われます。英語で書く、発表する、振る舞う、楽しむ、怒る、などが一人前の前提です。よくない英語で書いた論文は内容を読まれずに却下されがちです。国際会議において、英語が下手な発表は大抵相手にしてもらえません。質問に答えられないのも同じです。 学会発表・論文よりも進んだ最新情報は、しばしばクチコミで国際的な友人から入ってきます。飲みの席で話題になったりとか。 外人の研究者友達は財産、かつ楽しみとなります。

日本で英語を磨くのは難しいので、最初から英語が堪能であれとは思いません。ただ、英会話を勉強する、国際的な場面で日本人で固まらない、積極的に話しかける、旅行する、六本木に通うなど、最初は失敗続きでもいいので英語・外国・国際的な行動を心がけることが望まれます。それだけで、そうではない人と大きな差が出ます。日本においても、自室に閉じこもるよりは色々な研究者・非研究者と会話をしてほしいです。こういうのが苦手で、かつ本気で変える気がない人は、私でない指導者を志望する方がよいです。おそらく分野的にも不向きです。

研究者の生活は楽しい。多くの場合、会社人と比べて時間の使い方が非常に自由です。これは、人生40~50年は働くと考えると天国のようなことです。海外にも多く行けます。自分のやりたいことを、他の多くの職業と比べるとかなりできるように思います。学問も楽しいですが、学問以外のことを発信できる場所も多くあります。 多くの研究者にとって、研究内容は夢の実現やそれへの道のりです。私にとっては、目指すライフスタイルの実現もまた夢の達成です。それは今の所高い達成度です。イギリスに職を得られたことで、この人生の達成度はさらに高まりました。私は、そういう意味で、また私生活の充実も含めて、「かっこいい」ヒトになれるよう目指していきます。私に指導を希望する学生・ポスドクの みなさんも、各自のスタイルを築いて幸せになってほしいです。

宣伝:主要論文が1本以上あるなら、自分のホームページを作りましょう。国内、海外を問わず、他人は、ホームページを結構見てます。ホームページがもとで講演を頼まれるかもしれませんし、就職活動(ポスドク、常勤ポストなど)にも有利になるかもしれません。センスの悪いものを作ると、研究者としても疑われます。その意味でもよい練習です。

文献の探し方

  • 電子ジャーナル

    Google scholar がかなり有効.ダウンロードできる場合は,検索結果の右側にリンクが表示される.同じ論文でも,大学外で検索するとリンクがなく,大学内で検索するとリンクがある場合があることに注意(大学がその論文誌を購読している場合).

    それ以外では http://vs2ga4mq9g.search.serialssolutions.com/ と東大OPAC電子ジャーナルの両方を探すこと (何故か、片方だけだと検出できない事がある)。

  • 上記で見つからない(=東大が購読していない)場合も,下記のルートで見つかることが多い.

    (1) 半年や1年以上過去の論文は無料 (PNAS, Proc. R. Soc. B など)

    (2) 実はそもそも無料 (open access) の論文誌で、論文誌の HP からダウンロードできる (PLoS journals, BMC journals, New Journal of Physics, Physical Review X, など)

    (3) 著者個人の HP に pdf が置いてある

    (4) プレプリントサーバーで実質的に同じものが無料でとれる. arXivが有名.
    他にも,例えばSSRNという社会科学のプレプリントサーバーがある.
    また,例えば生物の実験の人は,プレプリントに出さない傾向がある.ジャーナルによっては,先にプレプリントサーバーに出された論文の投稿を受け付けないので注意が必要.

  • その他の研究資料情報

    Web of Science: 論文検索ツール。東大内部からは自由に見れる。キーワードや著者名などで論文を検索できる。
    どの論文が他の論文に何回引用されたか、の情報もある。
    ただし、publishされてから最大数ヶ月のタイムラグがある。

  • 本の著作権について,役立つ URL (1), (2), (3)

  • 学振 DC

    D 進学を考えてる人は日本学術振興会特別研究員 (DC1,DC2) になることができると,D1 あるいは D2 から,月に20万円程度の給料を受け取りつつ研究をできる.業績にもなる.そのためには,D1 のための申請なら M2 の 5 月に,D2 のための申請ならD1 の 5 月に,それなりの実績(論文,国際会議発表など)があることが必要.(D2 の 5 月に申しこんで,受かれば D3 の4月から DC2 を受け取る,という公募もある).東大ではかなりの学生がとってる.D 進学の人は必ず目指して下さい.

卒論・修論の執筆要領

大学から配られる資料があれば,基本的に,下記よりもそちらが優先します.

  • PDF へのコメント acrobat reader の annotation (注釈)tool とかいうものを adobe から無料でダウンロードしてください.すると,僕の書いた注釈をファイルで読むことができるようになったり,どの注釈がどこを指してるのか,等をプリントアウトすることができたりするようになります(ダウンロードしなくても注釈を読むことはできるのかもしれません).

構成

  • latex のスタイルファイルが伝承されてるようなので,それを用いる.
  • 図書室の B1 に過去の学位論文があるので,書き方について参考にすること.
  • 論文が日本語の場合,英語タイトルはつけない.論文が英語の場合,日本語の副タイトルをつける.
  • 論文が英語の場合,英語タイトルは,前置詞や冠詞(など)以外は,各単語の始まりを大文字にする.これは学位論文ルールであり,一般の投稿論文では特に要求されない(分野による).
  • 表紙でタイトルが2行以上に渡る場合,改行位置に気をつける(日本語・英語として不自然な箇所で改行にならないようにする).
  • 概要は,他の部分と独立して読めるようにしなければならないので,式番号,文献番号等を入れない.概要で文献をひきたい場合は,"Masuda et al. (2010)" のように書く.
  • 第1章は「はじめに」,1.1 節は「研究の背景」,1.2 節は「本論文の構成」で統一しましょう.1.1節を「研究の背景」,1.2節を「研究の目的」,1.3節を「本論文の構成」としてもよいでしょう.
  • 1.1 節では,専門に入りすぎないように,背景,本論文で扱う内容,等を説明する.見る側は専門家でないことを心がける.説明のための図を入れることは,大抵助けになるのでとてもよい.
  • 「本論文の構成」の節は以下のように書きましょう:本論文の構成は以下の通りである.第2章では,…….第3章では,…….ひとつの文に複数の章の説明をまぜこまない.
  • 第2章以降(結論の章は除く),最初の節 (2.1節とか)に入る前に,その章のプランを数行くらいで説明。
  • 次の章では,先行研究の十分なサーベイを行う.
  • 自分の結果と先行研究をきっちりわける.章わけするのが無難.ただし,卒論などで短めの場合は,1つの章の始めの方の節で先行研究を説明し,後の方の節で自分の提案手法を説明すること,などが自然な場合もある.
  • 結果と考察は別の章(章わけするのが不自然な場合は別の節)にわけて書く.結果の機械的な解釈 (x を大きくすると y が大きくなる、など) は結果であると見なす.結果から類推される社会的・生物的解釈等は考察であると見なす。
  • 最後の章の見出しは、「結論」または「おわりに」
  • 謝辞:規則ではないけど,褒めるのは具体的に褒める方がよいように個人的には思う.つまり「助けて下さった全ての人々に感謝します.」よりは,誰の何に対して感謝するかを書く方がよいかも.

文章表現

  • 一つの段落は,長すぎても(1ページ以上に渡るとか)短すぎても(一文だけで一段落のものが続くとか)いけない.
  • 接続詞:「しかし」「また」「なぜなら」などの後には,基本的に読点を置く.
  • むやみに現在進行形にしない.している → する
  • むやみに過去形にしない.選んだ方が → 選ぶ方が
  • むやみなカタカナ語は避ける.
    • ケース → 場合
    • シミュレーション → 数値計算
  • 普通に漢字にしないもの(助詞,難しすぎるものなど)は漢字にしない.
    • の為 → のため
    • 出来る → できる
    • 事 → こと
    • 纏める → まとめる
    • 又は → または
    • 故に → ゆえに
  • 日本語でも英語でも,キーワードの太字化,斜体文字化はしない.カギカッコ(「」)や ".." で囲って強調することもしない.
  • 'abc' → `abc'(pdf で見ると,なぜこうすべきなのかが分かる)
  • "abc"(2つのちょんちょんで1文字), ''abc'' → ``abc''(右側は,1つのちょんが2つ)
  • 「〜は重要である.」と書いたら,それだけだと主観的なので,その理由を書く.なぜなら,... など.
  • 例として……などがある.→ 例として……がある.
  • 式や節などの引用
    • 3章 → 第3章
    • 節 2.3 → 2.3 節
    • (3.12) 式 → 式 (3.12)
      LaTeX だと Eq.~\eqref{eq:1}
    • 4 図 → 図 4
    • 図 4.1〜4.3 => 図 4.1--4.3
  • 例えば式 (2.1) の直後のテキストにおいて,「この場合」→ 「式 (2.1) の場合」のように具体化する.
  • 中黒はなるべく使わない.読点で区切る,あるいは項目立てするなどすれば,全く使わないでも書けるはず.
  • 数字やアルファベットは、全角でなく半角で
  • \footnote{..} は使用を避ける.
  • 地の文で半角括弧を使う場合,前後に半角空白を入れる.すなわち、
    "これ(あれ)" → "これ (あれ)" :このように日本語だけの場合,全角括弧を用いて "これ(あれ)" とする方がきれい.
    "(a)$N=100$" → "(a) $N=100$"
    半角 , の後: A,B → A, B
    全角括弧の場合は、前後に半角空白を入れる必要はない。
  • 日本語論文のカンマとピリオド.日本語では全角を使う.一般的には,カンマは「,」と「、」のどちらでもよいし,ピリオドは「.」と「。」のどちらでもよい。全体で統一されていることが大事.ただし,東大計数数理コース & 数理情報学の卒論 & 修論では「,」と「.」の組み合わせということになっています.ただ,数式や英単語の後は半角がきれいだと思う。
    例:"$a$、" → "$a$, "(半角カンマの後に半角空白を入れることに注意)
    例:"これ, あれ"(半角カンマ + 半角空白)→ "これ、あれ" または "これ,あれ"(全角カンマ)
  • 英語論文では,全角は一切用いず,半角だけで書く.

数式

  • $x=5(y=3)$ → $x=5 (y=3)$
  • 別行立ての数式の末尾のコンマやピリオド:もし別行立てでない場合に全体を通じて読んで,例えばコンマが必要ならコンマを打つ。そうでなければ打たない。
  • 別行立ての数式には,末尾に式番号を付す.
  • 分数:別行立ての数式では \frac{1}{3}, 別行立てでないテキスト内(すなわち $...$)では $1/3$.
  • $1, 2, ¥dots, N$ → $1, 2, ¥ldots, N$
  • 組み合わせの数を表すのに nC2 (${}_nC_2$) を使わない.これは日本表記なので.¥atop で書く.

図,表

  • 数値計算結果などをプロットするとき、gnuplot はよく使われるフリーソフト。MATLAB とかでも描ける。
  • 白黒で済む図は白黒にする.線種 (gnuplot なら lt 1, lt 2 など。デフォルトでわけてくれる)、線の太さ (gnuplot なら lw 1, lw 2, lw 4 など)、ないし、グレースケールでも通用するような線の色 (lc 'black', lc 'gray' など) でかなりの区別をできる.
  • 図に無意味な背景色をつけない.白地が一番!
  • 図の解像度が低くないように気をつける.最終的には紙に出して目で確認する.
  • with lines なら default の lw 1 (lw は linewidth)は細すぎなので,最低でも lw 2. lw 8 でも太すぎることはない.
  • グラフの1枚1枚にタイトルをつける(= プロットエリアの上部とかにタイトルを書く)ことはしないのが普通。
  • ラベル等は,日本語を出力しにくいとかの理由で英語で書くなら,(固有名詞以外は) 小文字始まりで.
  • ラベルの英字は,変数名を示すものについては,できれば斜体にする (tex に合致させて,ということ).
  • ラベル等は大きく.大きくして大き過ぎることはないというのが経験則.
  • 線は太く.かなり太くてもよい.細いと印刷したときに見えない.
  • 1つの図の中に subfigures が 2 つ以上ある場合は、(a), (b), ... と番号をふって、(a) が何で (b) が何を表すかといったことは,図の caption(=説明文)で説明する.caption で「図左,図右」とか指し示すことはしない.
  • 他人の論文の図や表は直接載せない.出典を引用したとしても NG. 自分で描き直したものを載せる.
  • ネットワークの図の場合,図の caption で,描くのに用いたソフトウェアを明記する.データのソースも文献を引いて明記する.
  • 図の caption は図の下,表の caption は表の上.

文献引用

  • 学位論文は,雑誌名は省略せず書く.
  • 文献リストの文献順は,アルファベット順で,ということになってます。
  • 人名のアクセントに気をつける.tex で出せないアクセントはない.
  • 文系の本などで,他人の文章を長めに引用する(もちろん,出典をつけて)ことがあるが,出典をつければ正当化はされるが,卒論・修論(あるいは,私の分野の学術論文)では行わない.基本的に自分の言葉で書く.
  • 卒論では 8, 修論では 20 以上の文献を必ず引用する(増田ルール).
  • 自分が中身に目を通していない文献を引用すること(孫引き)はしない.
  • 2個以上同じ箇所で引くとき,本文中では
    \cite{ref1,ref2} とする.
    \cite{ref1} \cite{ref2} とはしない.
    (\cite{ref1,ref2}) ともしない.

    \usepackage{cite} とすると,文献の本文での現れ方が [1,3,2,4,5] あるいは [1,2,3,4,5] でなく [1-5] となるので必ず用いる.

  • 参考文献リストには色々な書式があるが,これの参考文献の書式で統一しましょう.強制はしませんが,ともかく,統一されていることが大事.

専門用語

私の趣味も少しありますが,以下で統一して下さい.

  • ネットワーク関連
    • スケールフリー・ネットワーク (全角の・(中黒)を入れる)
    • スモールワールド・ネットワーク
    • ランダムネットワーク,ランダムグラフ → ランダム・グラフ
    • ノード → 頂点
    • リンク、エッジ → 枝
  • ゲーム関連
    • プレーヤー → プレイヤー